うひ山ぶみ / 第四十段
但しからぶみを見るには、殊にやまとたましひをよくかためおきて見ざれば、かのふみのことよきにまどはさるゝことぞ、此心得肝要也、
書き下し
但しからぶみを見るには、殊にやまとたましひをよくかためおきて見ざれば、かのふみのことよきにまどはさるゝことぞ、此心得肝要也、
現代語訳
ただし漢籍を見るには、特に大和魂をよく固めておいてから見なければ、その書物の言葉の巧みさに惑わされてしまう。この心得が肝要である。
解説
漢籍を読めと言った直後の条件である。読む前に自分の立場を固めておけ、そうしないと言葉の巧みさに惑わされる、と。奥の注はこの「ことよき」を丁寧に定義する。文章が麗しいという意味ではなく、言葉が巧みで人が思いつきやすく、惑わされやすいさまをいうのだ、と。そして、漢籍は物事の理非を巧みに言い回すので人がよく納得してしまう、学問に限らず世間でも弁舌の巧みな人の言葉には人がなびきやすいのと同じだ、と説明する。説得力の高さと正しさは別物だという警告であり、これは対象が漢籍でなくとも成り立つ。
この章句が説くこと
大和魂漢籍説得力批判的読解弁舌
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