長短経 / 察相
㸃精近上者、志意下劣人也。㸃睛近下者志意髙尚人也㸃精近裏者自收斂人也㸃精近外者慠慢憨人也羊目直視能殺妻子豬目應澄刑禍相仍鷹視狼顧常懷嫉妬螻目蛄心難得、夫指者欲纖穠如鵞有皮相連者、性淳和人也。指頭方懟者、見事遲人也。妍美者、囑授人信之、惡者、人不遵承也。〕
新字:㸃精近上者、志意下劣人也。㸃睛近下者志意高尚人也㸃精近裏者自収斂人也㸃精近外者慠慢憨人也羊目直視能殺妻子豬目応澄刑禍相仍鷹視狼顧常懐嫉妬螻目蛄心難得、夫指者欲繊穠如鵞有皮相連者、性淳和人也。指頭方懟者、見事遅人也。妍美者、囑授人信之、悪者、人不遵承也。〕
書き下し
点精、上に近き者は、志意下劣の人なり。点睛、下に近き者は志意高尚の人なり。点精、裏に近き者は自ら収斂する人なり。点精、外に近き者は傲慢憨なる人なり。羊目にして直視するは能く妻子を殺す。豬目にして応澄なれば刑禍相い仍る。鷹視狼顧は常に嫉妬を懐く。螻目蛄心は得難し。夫れ指は繊穠にして鵞の如くならんことを欲す。皮の相連なる有る者は、性淳和の人なり。指頭方懟なる者は、事を見ること遅き人なり。妍美なる者は、囑授すれば人之を信ず。悪しき者は、人遵承せざるなり。〕
現代語訳
瞳の点が上寄りの者は、志が低劣な人である。瞳の点が下寄りの者は、志が高尚な人である。瞳の点が内寄りの者は、自ら引き締める人である。瞳の点が外寄りの者は、傲慢で愚かな人である。羊のような目でまっすぐ見つめるのは、妻子を殺すことができる。豚のような目で澄んでいれば、刑罰と災いが重なる。鷹のように見て狼のように振り返るのは、常にねたみを抱いている。けらのような目とけらのような心は、つかみどころがない。指は細く豊かで鵞鳥のようであることを求める。指の間に皮がつながっている者は、性質が淳朴で和やかな人である。指先が四角く反り返っている者は、物事の理解が遅い人である。指が美しい者は、言いつければ人が信じる。指が醜い者は、人が従わない。〕
解説
鷹視狼顧は、司馬懿を評した言葉として知られ、日本でも人物評に使われてきました。鷹のように鋭く見つめ、体を動かさずに首だけで背後を振り返る。警戒心と猜疑心の強さを言い当てた表現です。指の記述で、指が美しい者は言いつければ人が信じる、とあるのが面白い。説得力が言葉ではなく指し示す手の見え方に左右されるという観察で、これは今のプレゼンテーションにも通じます。
この章句が説くこと
察相鷹視狼顧嫉妬瞳指説得力
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