うひ山ぶみ / 第三十七段
心にまかせて、と力の及ばむかぎり、古きをも後の書をも、廣くも見るべく、又簡約にして、さのみ廣くはわたらずしても有リぬべし、
新字:心にまかせて、と力の及ばむかぎり、古きをも後の書をも、広くも見るべく、又簡約にして、さのみ広くはわたらずしても有リぬべし、
書き下し
心にまかせて、と力の及ばむかぎり、古きをも後の書をも、広くも見るべく、又簡約にして、さのみ広くはわたらずしても有リぬべし、
現代語訳
心に任せて、力の及ぶかぎり、古い書も後世の書も広く見るのもよく、また簡略にして、それほど広くわたらなくてもよいだろう。
解説
広く読むか、絞って読むか。宣長はどちらでもよいと言う。奥の注ではもう少し踏み込む。博識といって広く読むのもよいことだが、そうすると肝心の重要な書を読むことが自然とおろそかになるから、広いことばかりをよいとすべきではない、同じ力を重要な書に用いるのもよかろう、と。さらに、あれこれ広く心を分けることは互いに助けになることもあれば互いに害になることもあるから、その事情をよく判断せよと結ぶ。広く読むことの利と害を両方挙げて、判断は本人に返している。情報を広く追うか一点を深く掘るかは、今も答えの出ない問いである。
この章句が説くこと
博識精読広さと深さ取捨読書
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