うひ山ぶみ / 第三十二段
然れども初學のほどには、件の書どもを、すみやかに讀ミわたすことも、たやすからざれば、卷數多き大部の書共は、しばらく後へまはして、短き書どもより先ヅ見んも、宜しかるべし、
新字:然れども初学のほどには、件の書どもを、すみやかに読ミわたすことも、たやすからざれば、巻数多き大部の書共は、しばらく後へまはして、短き書どもより先ヅ見んも、宜しかるべし、
書き下し
然れども初学のほどには、件の書どもを、すみやかに読ミわたすことも、たやすからざれば、巻数多き大部の書共は、しばらく後へまはして、短き書どもより先ヅ見んも、宜しかるべし、
現代語訳
しかし初学のうちは、これらの書物を速やかに読み通すことも容易ではないから、巻数の多い大部の書物はしばらく後にまわして、短い書物から先に見るのもよいだろう。
解説
前段で大量の必読書を並べた直後に、初学者への現実的な配慮を入れる。全部を早く読み通すのは無理だから、大部のものは後回しにして短いものから始めよ、と。理想の書目を示すことと、実際に取りかかれる順序を示すことを、宣長は分けている。読むべき本の一覧を渡すだけでは人は動かない。どこから手をつけるかまで示して初めて実行できる、という理解がある。分量の少ないものから始めて、終えた感覚を積む。学習の設計として、いま推奨されるやり方と変わらない。
この章句が説くこと
読書順初学者分割着手学習設計
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『墨子』經說下荆。沈は、荆の具なり。則ち沈の淺きは荆の淺きに非ざるなり。五の一を易うるが若し。楹の搏なるを以て之を見るに、其の意に於けるや、先の智を易えず。意、相るなり。楹の秋より輕きが若きは、其の意に於けるや洋然たり。段と椎と錐と、倶に履に事う、用う可きなり。繪屨を成すに椎に過ぐるは、椎を成すに繪屨に過ぐると同じ。件に過ぐるなり。一。五に一有り、一に五有り、十二あり。非。半は、前に進みて取るなり。前にすれば則ち中、半と為すこと無く、猶お端のごときなり。前後に取れば、則ち端は中なり。必ず半にせよ、與すること毋かれ。半に非ざるは、不可なり。無かる可きも、己に給すれば則ち當に給すべく、無かる可からざるなり。久に窮有り、窮無し。正。凡そ處る所無くして縣に中らざるは、搏なり。傴宇は偏に字を舉ぐ可からざるなり。進み行く者は、先ず近きに敷き、後に逺きに敷く。
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孫子・行軍篇凡そ地に絶澗有り、天井・天牢・天羅・天陥・天隙に遇わば、必ず亟やかにこれを去り、近づくこと勿かれ。
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『墨子』經下堅白ならざるは、説は……に在り。荆の大なるも、其の沈むこと淺きは、説は具に在り。久と宇と無し。堅白は、説は因に在り。檻を以て博しと為すは、以て知る無しと為すに於いてなり。説は意に在り。諸の其の然る所に在りて未だ然らざる者は、説は是に於いて之を推すに在り。意は未だ知る可からず、説は用う可きと過仵とに在り。景は従わず、説は改め為すに在り。一は二より少なくして、五より多し。説は建住に在り。景、二なるは、説は重に在り。半に非ざれば則ち動かざるは、説は端に在り。景の到まなるは午に在り、端有りて景長し。説は端に在り。無かる可きも、之を有して去る可からざるは、説は嘗て然るに在り。景の迎うるを曰う、説は博に在り。缶して擔う可からざるは、説は博に在り。景の小大は、説は地の逺近に在り。宇に進むも近づく無きは、説は敷に在り。天にして必ず缶し、説は得に在り。行くに循いて以て久し、説は先後に在り。
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『長短経』七雄略〔賈誼曰く「天下の理安からんことを欲せば、衆く諸侯を建てて其の力を少なくするに若くは莫し。力少なければ則ち義を使い易く、国小なれば則ち邪心無し。天下の制をして、身の臂を使い、臂の指を使うが若くならしめよ。陛下、地を割き制を定め、斉・趙・楚をして各々若干の国と為し、其の子孫をして各々祖の分地を受けしめ、地尽きて止めよ。天子は焉に利する所無し」と。又た上疏して曰く「陛下即し制を定めずんば、今の勢いの如くんば、一伝再伝に過ぎずして、諸侯猶お且つ人々恣にして制せず、豪植して大いに強く、漢法行わるるを得ざらん。
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『墨子』大取諸そ聖人の先んずる所は、人の為なり。名を欲す、實の名なり。實は必ずしも名あらず。茍くも是の石や白ければ、是の石を敗るも、盡く白と同じ。是の石や唯だ大なるも、大と同じからず。是れ便ち焉れを謂う有るなり。形貌を以て命ずる者は、必ず是の謀を智るなり、焉んぞ某を智らんや。形貌を以て命ず可からざる者は、唯だ是の某を智らざるも、某を智るは可なり。諸そ居運を以て命ずる者は、茍くも其の中に人あれば、皆な是なり。之を去れば、因りて非なり。諸そ居運を以て命ずる者は、鄉里・齊荆の若き者は、皆な是なり。諸そ形貌を以て命ずる者は、山丘・室廟の若き者は、皆な是なり。智と意とは異なる。重同、具同、連同、同類の同、同名の同、丘同、鮒同、是の同、然の同、同根の同。非の異有り、不然の異有り。其の異有るや、其の同を為すなり。其の同を為すや異なり。
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