うひ山ぶみ / 第三十二段
然れども初學のほどには、件の書どもを、すみやかに讀ミわたすことも、たやすからざれば、卷數多き大部の書共は、しばらく後へまはして、短き書どもより先ヅ見んも、宜しかるべし、
新字:然れども初学のほどには、件の書どもを、すみやかに読ミわたすことも、たやすからざれば、巻数多き大部の書共は、しばらく後へまはして、短き書どもより先ヅ見んも、宜しかるべし、
書き下し
然れども初学のほどには、件の書どもを、すみやかに読ミわたすことも、たやすからざれば、巻数多き大部の書共は、しばらく後へまはして、短き書どもより先ヅ見んも、宜しかるべし、
現代語訳
しかし初学のうちは、これらの書物を速やかに読み通すことも容易ではないから、巻数の多い大部の書物はしばらく後にまわして、短い書物から先に見るのもよいだろう。
解説
前段で大量の必読書を並べた直後に、初学者への現実的な配慮を入れる。全部を早く読み通すのは無理だから、大部のものは後回しにして短いものから始めよ、と。理想の書目を示すことと、実際に取りかかれる順序を示すことを、宣長は分けている。読むべき本の一覧を渡すだけでは人は動かない。どこから手をつけるかまで示して初めて実行できる、という理解がある。分量の少ないものから始めて、終えた感覚を積む。学習の設計として、いま推奨されるやり方と変わらない。
この章句が説くこと
読書順初学者分割着手学習設計