うひ山ぶみ / 第三十段
又件の史どもの中に、御世々々の宣命には、ふるき意詞ののこりたれば、殊に心をつけて見るべし、
書き下し
又件の史どもの中に、御世々々の宣命には、ふるき意詞ののこりたれば、殊に心をつけて見るべし、
現代語訳
またこれらの史書の中で、代々の御世の宣命には古い言葉や心が残っているので、特に注意して見るべきである。
解説
漢文で書かれた正史の中に、宣命という和文体の部分がある。そこには古い言葉と心が残っているから注意して見よ、という指示である。奥の注はこれを一般化する。宣命に限らず何事であれ、中国風の筋から離れて、わが国の上代らしい筋の事柄や言葉は、どの書物にあるものでも特に心をとどめて見よ、古を知る助けになる、と。大量の資料の中から、目的に照らして意味のある部分を選び出す視点の持ち方を教えている。全部を等しく読むのではなく、何を探しているかを決めて読む。資料を大量に扱う仕事では、今も同じ技術が要る。
この章句が説くこと
宣命古語資料の読み方着眼点六国史
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