うひ山ぶみ / 第二十八段
次に萬葉集、これは哥の集なれども、道をしるに、甚ダ緊要の書なり、殊によく學ぶべし、その子細は、下に委くいふべし、
新字:次に万葉集、これは歌の集なれども、道をしるに、甚ダ緊要の書なり、殊によく学ぶべし、その子細は、下に委くいふべし、
書き下し
次に万葉集、これは歌の集なれども、道をしるに、甚ダ緊要の書なり、殊によく学ぶべし、その子細は、下に委くいふべし、
現代語訳
次に『万葉集』は、これは歌の集ではあるけれども、道を知るのに非常に重要な書物である。特によく学ぶべきである。その詳細は後で詳しく述べる。
解説
歌集がなぜ道の学問に必要なのか。宣長はここでは理由を保留し、後に詳述すると予告する。奥の注で示される理由はこうである。師の賀茂真淵の教えの核心がここにあり、古の道を知ろうとするならまず古の歌を学んで古語をよく知れ、古語を知らなければ古意は知られず、古意を知らなければ古の道は知りがたい、と。言葉と、行いと、心は互いに対応しているというのが前提である。ある時代の人の心を知るには、その時代の言葉を知るしかない。言語を通してしか思考には近づけないという認識は、現代の思想史や人類学の方法とも重なっている。
この章句が説くこと
万葉集古語賀茂真淵言語と思考古意
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