尚書 / 太甲上
若虞機張,往省括于度則釋
新字:若虞機張,往省括于度則釈
書き下し
虞(ぐ)の機張るが若(ごと)く、往(ゆ)きて括(かつ)の度(ど)に于(お)けるを省(かえり)みて則ち釈(はな)て。
現代語訳
猟師が仕掛けの弓を張るときのように、放つ前に矢筈が狙いに合っているかを確かめてから、はじめて放て。
解説
弓を引き絞ったその勢いのままに放つのではなく、放つ直前にもう一度狙いを確かめよという、実行前の点検を説く句である。準備が整ったと感じた瞬間ほど、人は勢いに任せて確認を省きがちである。しかし本当に大事な一手ほど、放つ直前のひと呼吸が結果を分ける。仕事の提出前、大事な発言の前、決断の直前に、いま一度狙いとずれがないかを確かめる小さな習慣が、後悔を防ぐ。なお、本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
この章句が説くこと
点検準備実行前の確認
関連する章句
-
司馬法・嚴位凡そ戦の道は、位は厳ならんことを欲し、政は栗(りつ)ならんことを欲し、力は窕(ゆとり)あらんことを欲し、気は閑(しずか)ならんことを欲し、心は一ならんことを欲す。
-
うひ山ぶみ・第六段まことに然あるべきことにて、その学のしなを正し、まなびやうの法をも正して、ゆくさきよこさまなるあしき方に落チざるやう、又其業のはやく成るべきやう、すべて功多かるべきやうを、はじめよりよくしたゝめて、入らまほしきわざ也、
-
孫子・形篇是の故に勝兵はまず勝ちて後に戦い、敗兵はまず戦いて後に勝ちを求む。
-
司馬法・定爵教えは惟(こ)れ豫(あらかじ)め、戦いは惟れ節(せつ)。
-
李衛公問対・卷上《孫子》に謂う、『多筭は少筭に勝つ』と。以て少筭の無筭に勝つを知る有り。凡そ事皆な然り。
-
孫子・虚実篇孫子曰く、凡そ先に戦地に処して敵を待つ者は佚く、後に戦地に処して戦いに趨く者は労す。