徒然草 / 第127段
改めて益なきことは、改めぬをよしとするなり。
書き下し
改めて益なきことは、改めぬをよしとするなり。
現代語訳
改めても利益のないことは、改めないでおくのがよいのである。
解説
わずか一文で完結する、兼好の処世訓のひとつです。何かを変えることには労力や混乱が伴い、必ずしも良い結果を生むとは限りません。ここで兼好は、変えても得るものがないなら、無理に変えずそのままにしておくのがよいと説きます。裏を返せば、変えることで明らかに益があるなら改めるべきだという含意も読み取れ、変化そのものを否定しているわけではありません。大切なのは「変える」か「変えない」かを決める基準を、益の有無という実利に置いている点です。現代でも、慣習や制度、人間関係のあり方を見直す場面は多くありますが、変更のための変更、いわゆる改革ありきの改革に陥ると、かえって混乱や損失を招くことがあります。何かを改めようとするときには、それが本当に益をもたらすのかを冷静に見極める姿勢が求められます。
この章句が説くこと
改めぬをよし益処世訓現状維持変化実利主義
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