徒然草 / 第96段
めなもみといふ草あり。蝮にさされたる人、かの草を揉みてつけぬれば、すなはち癒ゆとなむ。見知りておくべし。
書き下し
めなもみといふ草あり。蝮にさされたる人、かの草を揉みてつけぬれば、すなはち癒ゆとなむ。見知りておくべし。
現代語訳
めなもみという草がある。蝮(まむし)に噛まれた人が、その草を揉んでつけると、たちまち治るという。知っておくとよい。
解説
蝮に噛まれた際の民間療法を短く伝える段です。「めなもみ」という草を揉んでつければすぐに治るとし、「見知りておくべし(知っておくとよい)」という一言で締めくくられます。医学知識や民間伝承を実用情報として書き残そうとする姿勢がうかがえ、随筆全体に流れる無常観や人物評とは異なる、生活に役立つ知恵の記録という一面を示す段です。当時は毒蛇に噛まれることが決して珍しくない身近な危険であり、いざという時の対処法を知っているかどうかが命に関わったことがうかがえます。現代で言えば応急処置の知識を身につけておくことに近く、いざという時に備えて実用的な知恵を蓄えておくことの大切さを教えてくれます。
この章句が説くこと
めなもみ蝮毒蛇民間療法応急処置見知りておくべし
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