都鄙問答 / 卷之二・或人親へ仕之事ヲ問之段
借リ調ヘ與ラレン、加樣ナル苦勞ヲカケ、其辨ヘヲ不知ハ、哀キコトナリ、ソノ外不足ハ、他人ヨリ借用ユルトヤ、自ノ財寶アリナガラ、他人ノ心ヲ伺フ、コレ汝ガ威ヒ衰ヘル前表ナリ、他ヨリハ、家屋敷ニ心ヲ附テ貸ナレバ、終ハ他ノ物トナラン、是天汝ガ財寶ヲクツガヘサントスル兆シ既見ル、詩曰、天之方蹶無然泄々ト云コレナリ、扠又月ニ一兩度ノ遊ニ、何トテ左樣ニ金銀入リ申候ヤ、
新字:借リ調ヘ与ラレン、加様ナル苦労ヲカケ、其弁ヘヲ不知ハ、哀キコトナリ、ソノ外不足ハ、他人ヨリ借用ユルトヤ、自ノ財宝アリナガラ、他人ノ心ヲ伺フ、コレ汝ガ威ヒ衰ヘル前表ナリ、他ヨリハ、家屋敷ニ心ヲ附テ貸ナレバ、終ハ他ノ物トナラン、是天汝ガ財宝ヲクツガヘサントスル兆シ既見ル、詩曰、天之方蹶無然泄々ト云コレナリ、扠又月ニ一両度ノ遊ニ、何トテ左様ニ金銀入リ申候ヤ、
書き下し
借り調へ与へられん。加様なる苦労をかけ、其弁へを知らざるは、哀しきことなり。その外不足は、他人より借用ゆるとや。自らの財宝ありながら、他人の心を伺ふ。これ汝が威ひ衰ふる前表なり。他よりは、家屋敷に心を附けて貸すなれば、終りは他の物とならん。是天汝が財宝をくつがへさんとする兆し既に見ゆる。詩に曰く、天の方に蹶かんとす、然く泄々たること無かれと云ふこれなり。扠又月に一両度の遊びに、何とて左様に金銀入り申し候や。
現代語訳
借りて工面して与えているのでしょう。そんな苦労をかけて、それをわきまえないのは悲しいことです。そのほか足りない分は他人から借りているとか。自分の財産がありながら、他人の顔色をうかがっている。これはあなたの勢いが衰える前兆です。他人は家屋敷を当てにして貸すのですから、最後には家屋敷は他人の物になるでしょう。天があなたの財産をひっくり返そうとしている兆しが、もう見えています。『詩経』に『天がまさに覆そうとしているのに、のんびりしていてはならない』とあるのがこれです。さて、月に一、二度の遊びに、どうしてそんなにお金がかかるのですか。」
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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荀子・宥坐篇詩に曰く、「彼の日月を瞻(み)れば、悠悠たり我が思い。道の云(ここ)に遠き、曷(いつ)か云に能く来たらん」と。子曰く、「伊(そ)れ稽首(けいしゅ)せば、其れ来たること有らざらんや」と。
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呂氏春秋・先己④詩に曰く、「轡を執ること組の如し。」孔子曰く、「此の言を審らかにすれば、以て天下を為む可し。」子貢曰く、「何ぞ其れ躁なるや。」孔子曰く、「其の躁なるを謂うに非ざるなり。其の之を此に為めて、文を彼に成すを謂えるなり。」聖人は其の身を組修して、文を天下に成す。故に子華子曰く、「丘陵成りて、穴する者安んじ、深淵成りて魚鱉安んじ、松柏成りて塗の人已に蔭せらる。」
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論語・八佾篇『関雎』は楽しくして淫せず、哀しくして傷(やぶ)らず。
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荀子・大略篇国風の色を好むや、伝に曰く、「其の欲を盈(み)たして其の止(とど)まるを愆(あやま)らず。其の誠は金石に比すべく、其の声は宗廟に内(い)るべし」と。小雅は汙上(をじょう)に用ゐられず、自ら引きて下に居り、今の政を疾(にく)みて以て往者を思ふ。其の言に文(あや)有り、其の声に哀しみ有り。
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『呻吟語』外篇・治道・民の父母『詩』に云ふ、「樂しき君子は、民の父母」と。又た曰く、「豈弟の君子は、民の父母」と。君子は『詩』に觀て、政を為すの道を知るなり。