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都鄙問答 / 卷之二・或人親へ仕之事ヲ問之段

答、汝ノ云ヘル所、子タル者ノ道ニ背ケリ、易ニ、家人ニ嚴君アリト云ヘリ、妻子ヨリ云ハヾ、家ノ主ハ君ノ如シ、然レバ母モ汝モ家來ニ同ジ、家來ノ身トシテ、我退屈スルヲ以テ、主人ノ慰ヲ止ルコト、法ニ於テ有ベカラズ、且母ノ難義ト云、我レ道ニソムクノミナラズ、母マデヲ、女ノ道ニ背シム、重々ノ不孝、アゲテ數ヘガタシ、己ガ身治ラズシテ、人ニ及ブベキコトニアラズ、況ヤ親ニ於テヲヤ、扠又汝ノ遣ルヽ金ハ、何方ヨリ出申候ヤ、

新字:答、汝ノ云ヘル所、子タル者ノ道ニ背ケリ、易ニ、家人ニ厳君アリト云ヘリ、妻子ヨリ云ハヾ、家ノ主ハ君ノ如シ、然レバ母モ汝モ家来ニ同ジ、家来ノ身トシテ、我退屈スルヲ以テ、主人ノ慰ヲ止ルコト、法ニ於テ有ベカラズ、且母ノ難義ト云、我レ道ニソムクノミナラズ、母マデヲ、女ノ道ニ背シム、重々ノ不孝、アゲテ数ヘガタシ、己ガ身治ラズシテ、人ニ及ブベキコトニアラズ、況ヤ親ニ於テヲヤ、扠又汝ノ遣ルヽ金ハ、何方ヨリ出申候ヤ、

書き下し

答ふ、汝の云へる所、子たる者の道に背けり。易に、家人に厳君ありと云へり。妻子より云はゞ、家の主は君の如し。然れば母も汝も家来に同じ。家来の身として、我退屈するを以て、主人の慰みを止むること、法に於て有るべからず。且つ母の難義と云ふ。我れ道にそむくのみならず、母までを、女の道に背かしむ。重々の不孝、あげて数へがたし。己が身治まらずして、人に及ぶべきことにあらず。況んや親に於てをや。扠又汝の遣はるゝ金は、何方より出で申し候や。

現代語訳

梅岩「あなたの言うことは、子としての道に背いています。『易経』に『家人に厳君あり』とあります。妻子から見れば、家の主は君主のようなものです。ですから母もあなたも家来と同じです。家来の身で、自分が退屈だからといって主人の楽しみをやめさせるのは、道理として許されません。そのうえ母が困っていると言いますが、あなたは自分が道に背くだけでなく、母にまで妻としての道に背かせています。重ね重ねの不孝で、数え上げることもできません。自分の身が治まっていないのに、人を正そうとするものではありません。まして親に対してはなおさらです。さて、あなたが遣っているお金はどこから出ているのですか。」

解説

梅岩は『易経』家人の卦の「家人に厳君あり」を引き、家の主は妻子にとって君主のようなものだと言います。自分が夜遊びで親を待たせながら、親の晩酌の長話を退屈だからとやめさせるのは筋が通らない。まず自分の身を治めてから人に及ぶべきだ、という『大学』の修身斉家の順序です。今の感覚では家長を君主とする考えには違和感もありますが、自分の行いを正さずに他人の欠点を正そうとしても通らない、という点は変わりません。話はここから金の出どころへ移ります。

この章句が説くこと

修身易経家長不孝諫言

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