歎異抄 / 第十一条
一文不通の輩の念仏申すにおうて、「汝は誓願不思議を信じて念仏申すか、また名号不思議を信ずるか」と言い驚かして、二つの不思議の子細をも分明に言いひらかずして、人の心を惑わすこと。 この条、かえすがえすも心をとどめて思い分くべきことなり。
書き下し
一文不通の輩の念仏申すにおうて、「汝は誓願不思議を信じて念仏申すか、また名号不思議を信ずるか」と言い驚かして、二つの不思議の子細をも分明に言いひらかずして、人の心を惑わすこと。 この条、かえすがえすも心をとどめて思い分くべきことなり。
現代語訳
文字も読めないような人が念仏を称えているのを見て、『お前は誓願の不思議を信じて念仏を称えているのか、それとも名号の不思議を信じているのか』と言って驚かせ、二つの不思議の違いをはっきりと説き明かさないまま、人の心を惑わすこと。この件は、くれぐれも心を留めてよく考え分けるべきことである。
解説
難しい言葉の区別を持ち出して、素朴に信じている人を不安にさせるという振る舞いが戒められている。知識や理屈で相手を試すような態度は、教える側の優越感を満たすことはあっても、相手を本当に助けることにはならない。誰かに何かを説明するとき、自分の理解を誇示することが目的になっていないか、振り返らせる一節である。
この章句が説くこと
誓願不思議名号不思議惑わし