歎異抄 / 第二条
もししからば、南都北嶺にもゆゆしき学匠たち多く座せられて候なれば、かの人々にもあいたてまつりて、往生の要よくよく聞かるべきなり。 親鸞におきては、「ただ念仏して弥陀に助けられまいらすべし」と、よき人の仰せを被りて信ずるほかに、別の子細なきなり。
書き下し
もししからば、南都北嶺にもゆゆしき学匠たち多く座せられて候なれば、かの人々にもあいたてまつりて、往生の要よくよく聞かるべきなり。 親鸞におきては、「ただ念仏して弥陀に助けられまいらすべし」と、よき人の仰せを被りて信ずるほかに、別の子細なきなり。
現代語訳
もしそうであれば、奈良や比叡山にも立派な学僧たちが大勢おられるはずだから、その人々にお会いして、往生の要点をよくよくお聞きになるのがよい。親鸞においては、ただ『念仏して阿弥陀仏に助けていただきなさい』という、よき人(法然上人)の仰せを受けて信じているだけで、それ以外に特別な事情はないのである。
解説
学識を求めるなら他をあたればよいと突き放しながらも、親鸞自身は「よき人の仰せを信じているだけ」だと言い切る。自分の考えや理屈で武装するより先に、誰の言葉を信頼して受け取るかという一点に立ち返る姿勢がここにある。何かを選び取るとき、理屈より先にある信頼関係の重みを、日々の判断の場面でも思い出させてくれる一節だ。
この章句が説くこと
よき人信頼学問との違い至誠
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