酔古堂剣掃 / 集倩・誠實以て人の信を啟く
誠實以啟人之信我,樂易以使人之親我,虛己以聽人之教我,恭己以取人之敬我,奮發以破人之量我,洞徹以備人之疑我,盡心以報人之托我,堅持以杜人之鄙我。
新字:誠実以啓人之信我,楽易以使人之親我,虚己以聴人之教我,恭己以取人之敬我,奮発以破人之量我,洞徹以備人之疑我,尽心以報人之托我,堅持以杜人之鄙我。
書き下し
誠實以て人の我を信ずるを啟き、樂易以て人の我に親しむを使め、己を虛しうして以て人の我に教ふるを聽き、己を恭しうして以て人の我を敬ふを取り、奮發以て人の我を量るを破り、洞徹以て人の我を疑ふに備へ、心を盡くして以て人の我に托するに報い、堅持以て人の我を鄙しむを杜ぐ。
現代語訳
誠実さによって人が自分を信じる道を開き、明るく気さくであることで人が自分に親しむようにさせ、自分を空しくして人が自分に教えてくれることに耳を傾け、自分を慎み深く保つことで人の敬意を得、奮い立って励むことで人が自分を見くびるのを打ち破り、物事を見通す明晰さで人が自分を疑うのに備え、心を尽くして人が自分に託してくれたことに報い、志を堅く守ることで人が自分を軽んじるのを防ぎます。
解説
人との関わりの中で、自分がどうあるべきかを八つの項目にまとめた、十二集の結びにふさわしい一則です。誠実は信頼を、楽易、つまり明るく気さくな人柄は親しみを生みます。虚己は自分を空しくして謙虚になること、恭己は自分を慎み深く保つことで、それぞれ人からの教えと敬意を招きます。奮発は奮い立って努力すること、洞徹は物事の奥まで見通すことで、人に見くびられたり疑われたりするのを防ぎます。尽心は託されたことに誠意で応えること、堅持は志を曲げないことです。どの句も、人の態度を変えようとするのではなく、まず自分の側を整えれば、人の反応はおのずと変わるという考えで貫かれています。美と風雅を集めた集倩の最後に、こうした実践的な修身の言葉が置かれているのは、風雅も人の品格に支えられてこそ、という編者の思いの表れとも読めます。
この章句が説くこと
修身誠実謙虚信頼処世
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