格言聯璧 / 接物類・訥は能く辯を屈す
人用術,我以誠感之。 人使氣,我以理屈之。 柔能制剛,遇赤子而賁、育失其勇。 訥能屈辯,逢喑者而儀、秦拙於詞。 困天下之智者,不在智而在愚。
新字:人用術,我以誠感之。 人使気,我以理屈之。 柔能制剛,遇赤子而賁、育失其勇。 訥能屈弁,逢喑者而儀、秦拙於詞。 困天下之智者,不在智而在愚。
書き下し
人術を用ゐれば、我誠を以て之を感ぜしむ。 人氣を使へば、我理を以て之を屈す。 柔は能く剛を制す、赤子に遇ひては賁・育も其の勇を失ふ。 訥は能く辯を屈す、喑者に逢ひては儀・秦も詞に拙なり。 天下の智者を困しむるは、智に在らずして愚に在り。
現代語訳
相手が策略を使うなら、自分は誠によって相手の心を動かします。 相手が意気をたのんで押してくるなら、自分は道理によって相手を屈服させます。 柔は剛を制することができます。赤ん坊に出会えば、孟賁や夏育(いずれも古代の勇士)でさえその勇ましさを失います。 口べたは雄弁を屈服させることができます。口のきけない人に会えば、張儀や蘇秦(戦国時代の弁舌家)でさえ言葉に詰まります。 天下の知恵者を困らせるのは、知恵ではなく愚かさです。
解説
前の単位の「剛には柔」に続き、術には誠、気には理で応じよと、相手と反対の手で臨む三つ組を完成させます。続く二句は、柔が剛を、訥が弁を制する例を、名高い人物で示します。どんな勇士も赤子には力の振るいようがなく、どんな弁舌家も口のきけない相手には言葉が役に立ちません。老子の、柔弱は剛強に勝つという思想に通じる考え方です。最後の句から次の単位にかけて、智者を困らせるのは愚、弁者を窮めるのは訥、勇者を伏せるのは怯と、逆説が三つ並びます。強く言い返したくなる相手ほど、同じ土俵に乗らずに受け流すほうが、かえって相手の力を失わせることがあるものです。
この章句が説くこと
柔和誠実接物謙虚逆説
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