酔古堂剣掃 / 集醒・才の高きに倚りて世を玩ぶ
倚才高而玩世,背後須防射影之蟲;飾厚貌以欺人,面前恐有照膽之鏡。
新字:倚才高而玩世,背後須防射影之虫;飾厚貌以欺人,面前恐有照胆之鏡。
書き下し
才の高きに倚りて世を玩べば、背後に須らく影を射るの蟲を防ぐべし。厚き貌を飾りて以て人を欺けば、面前に恐らくは膽を照らすの鏡有らん。
現代語訳
才能の高さを頼みにして世間をもてあそぶなら、背後から影を射て人を害する虫に気をつけなければなりません。いかにも篤実そうな顔つきを装って人をだますなら、目の前には心の奥まで映し出す鏡があるかもしれません。
解説
才に驕る人と、見せかけの誠実さで人を欺く人とを並べて戒めた対句です。影を射る虫とは蜮(いさごむし)のことで、水中から人の影に砂を吹きかけて病ませるといわれ、陰で人を害する者のたとえです。胆を照らす鏡は、秦の宮殿にあって人の心の邪正まで映したという伝説の鏡です。才能を鼻にかけて人を軽んじれば、恨みを買って陰から足をすくわれます。うわべを取り繕えば、見抜く人の目からは逃れられません。どちらも、自分は賢い、自分は隠し通せると思う油断が危ないのです。仕事ができる人ほど周りへの敬意を忘れず、誠実さは演じるものではなく中身で示すものだと心得ておきたいものです。
この章句が説くこと
修身処世謙虚誠実才能
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