酔古堂剣掃 / 集倩・盆中に石を養ふ
瓶中插花,盆中養石,雖是尋常供具,實關幽人性情。若非得趣,個中布置,何能生致!
新字:瓶中挿花,盆中養石,雖是尋常供具,実関幽人性情。若非得趣,個中布置,何能生致!
書き下し
瓶中に花を插し、盆中に石を養ふ、是れ尋常の供具なりと雖も、實に幽人の性情に關はる。 若し趣を得るに非ずんば、個中の布置、何ぞ能く生致あらん。
現代語訳
瓶に花を挿し、鉢に石を置いて育てる、これはありふれた飾りものにすぎませんが、実は世を離れて暮らす人の性情に深く関わるものです。もし趣を心得ていなければ、その中の配置に、どうして生き生きとした味わいが出せるでしょうか。
解説
花や石の飾り方に、その人の心が表れるという一則です。瓶花は瓶に花を生けること、盆石は鉢や盆に石を配して山水を表すもので、明の文人たちはこれを書斎に置いて楽しみました。養石は、石に水をやって苔をつけるなど、石を生き物のように育てることを言います。尋常供具は、ありふれた日常の飾り道具のことです。しかし著者は、それが幽人の性情、つまりその人の心のあり方に深く関わっていると言います。布置は配置、生致は生き生きとした趣のことです。趣を心得た人が並べれば、花一輪、石一つにも命が宿りますが、そうでない人が並べると、ただ物が置いてあるだけになってしまいます。部屋の飾り方や机の上の整え方には、知らず知らずその人の心が映るものです。身の回りの小さな配置に心を込めることは、自分の心を整えることでもあるのでしょう。
この章句が説くこと
生け花盆石書斎性情風雅
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