酔古堂剣掃 / 集素・盆池拳石の間にも煙霞具足す
得趣不在多,盆池拳石間,煙霞具足;會景不在遠,蓬窗竹屋下,風月自賒。
新字:得趣不在多,盆池拳石間,煙霞具足;会景不在遠,蓬窗竹屋下,風月自賒。
書き下し
趣を得るは多きに在らず、盆池拳石の間にも、煙霞具足す。 景を會するは遠きに在らず、蓬窗竹屋の下にも、風月自ら賒かなり。
現代語訳
趣を得るのに多くのものは要りません。小さな鉢の池と拳ほどの石の間にも、霞や靄の趣がすべて備わっています。景色を味わうのに遠くへ行く必要はありません。粗末な窓や竹の家の下にも、風や月の趣がおのずとゆったりと広がっています。
解説
趣や美しさは、量の多さや距離の遠さに比例しないと説いた対句です。盆池は鉢に水を張った小さな池、拳石は拳ほどの石で、庭や机の上に置いて楽しむ小さな景色です。煙霞具足は、そこに山水の霞や靄の趣がすべて備わっていることです。蓬窓竹屋は、蓬で編んだ窓や竹で作った粗末な家です。賒はゆったりと遠くまで広がることで、風月の趣が狭い住まいにもあふれていると言います。菜根譚にもほぼ同じ句があります。遠くの名所や広い庭を持たなくても、身近な小さなものに心を込めれば、そこに天地の趣を見いだせます。鉢植え一つにも世界を感じ取る、心の豊かさを教えてくれます。
この章句が説くこと
風雅知足自然閑適菜根譚
関連する章句
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菜根譚・後集趣を得るは多きに在らず。盆池拳石の間に、煙霞は具足す。景に会するは遠きに在らず。蓬窓竹屋の下に、風月は自ら賖(ゆた)かなり。
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『酔古堂剣掃』集韻・一拳も便ち是れ名山峰巒窈窕たれば、一拳も便ち是れ名山、花竹扶疏たれば、半畝も金谷に如同す。
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『酔古堂剣掃』集素・奇士雅客は蠹簡を以て代ふ山中に花を蒔き草を種うるは、以て自ら娛しむに足る、而れども地樸にして人荒れ、泉石都て無く、絲竹響きを絕ち、奇士雅客も亦た復た過らず、未だ寂寞として日を度るを免れず。 然れども泉石は水竹を以て代へ、絲竹は鶯舌蛙吹を以て代へ、奇士雅客は蠹簡を以て代ふれば、亦た略ぼ相當る。
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『酔古堂剣掃』集素・淨幾明窗、一甌の茶、一爐の香淨幾明窗、一軸の畫、一囊の琴、一隻の鶴、一甌の茶、一爐の香、一部の法帖。 小園幽徑、幾叢の花、幾群の鳥、幾區の亭、幾拳の石、幾池の水、幾片の閒雲。
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『酔古堂剣掃』集靈・山石は拙を嫌はず臥石は斜を嫌はず、立石は細を嫌はず、倚石は薄を嫌はず、盆石は巧を嫌はず、山石は拙を嫌はず。
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『酔古堂剣掃』集倩・胸中の丘壑案頭の峰石、四壁冷やかに煙雲に浸る、何ぞ胸中の丘壑に與らん。 枕邊の溪聲、半榻寒く瀑布を生ず、爭でか舌底の鳴泉に如かん。