酔古堂剣掃 / 集倩・勝地は皆仙なり
青山在門,白雲當戶,明月到窗,涼風拂座。勝地皆仙,五城十二樓,轉覺多設。
新字:青山在門,白雲当戸,明月到窗,涼風払座。勝地皆仙,五城十二楼,転覚多設。
書き下し
青山門に在り、白雲戶に當たり、明月窗に到り、涼風座を拂ふ。 勝地は皆仙なり、五城十二樓、轉た多設なるを覺ゆ。
現代語訳
青い山が門の前にあり、白い雲が戸口に向かい、明るい月が窓に届き、涼しい風が座を払っていきます。すぐれた土地はみな仙境であって、仙人の住む五つの城と十二の楼閣など、かえって作りすぎだと思えてきます。
解説
身近な住まいがそのまま仙境だと言い切る、大らかな一則です。前半は四つの四字句で、山、雲、月、風が、門、戸、窓、座に次々と訪れてくる様子を描いています。自然のほうから住まいにやってきてくれるような、恵まれた場所の姿です。五城十二楼は、『史記』封禅書に、黄帝の時代に仙人を迎えるために五つの城と十二の楼閣を築いたと見える話に基づく言葉で、仙人の住まいの象徴です。転覚多設は、かえって余計なものを設けすぎているように感じる、という意味です。つまり、山と雲と月と風があれば、わざわざ豪華な仙人の宮殿など要らないというのです。今いる場所の自然の恵みに気づくことができれば、遠くの理想郷を追い求めなくても、ここがすでに仙境なのだと教えてくれます。
この章句が説くこと
仙境住まい自然知足閑適
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