酔古堂剣掃 / 集倩・地に席して小酌す
一軒明月,花影參差,席地便宜小酌;十里青山,鳥聲斷續,尋春幾度長吟。
新字:一軒明月,花影参差,席地便宜小酌;十里青山,鳥声断続,尋春幾度長吟。
書き下し
一軒の明月、花影參差として、地に席して便ち小酌に宜し。 十里の青山、鳥聲斷續として、春を尋ねて幾度か長吟す。
現代語訳
軒いっぱいの明るい月に、花の影がふぞろいに揺れていて、地面に座ってちょっと一杯やるのにちょうどよい晩です。十里も続く青い山に、鳥の声が途切れ途切れに聞こえ、春をたずね歩いては何度も長く詩を吟じます。
解説
月夜の庭と春の山という二つの情景を対句で描いた一則です。一軒は軒一つ分、つまり家の前いっぱいに差し込む月の光です。參差は長短ふぞろいなさまで、花の影が不揃いに地面に落ちている様子を言います。席地は敷物も敷かずに地べたに座ることで、形式ばらないくつろいだ小さな酒宴を思わせます。後半では一転して昼の山歩きに移り、途切れ途切れの鳥の声を聞きながら、春の景色を探して詩を口ずさみます。夜の静と昼の動、近景と遠景が見事に対になっています。特別なもてなしがなくても、月と花があれば地べたで十分楽しめるという身軽さは、今の暮らしでも取り入れやすい楽しみ方でしょう。
この章句が説くこと
風雅閑適月春自然
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