酔古堂剣掃 / 集倩・半簾の明月人を窺ふ
茅屋竹窗,一榻清風邀客;茶爐藥竈,半簾明月窺人。
新字:茅屋竹窗,一榻清風邀客;茶炉薬竈,半簾明月窺人。
書き下し
茅屋竹窗、一榻の清風客を邀へ、 茶爐藥竈、半簾の明月人を窺ふ。
現代語訳
茅ぶきの家に竹の窓、寝台いっぱいの清らかな風が客を迎え、茶の炉と薬の竈のあたりには、簾に半ば差し込む明るい月が人をのぞきこんでいます。
解説
質素な住まいに、風と月という自然のもてなし役を配した一則です。茅屋竹窓は茅ぶきの屋根に竹の窓という、隠者の簡素な住まいです。清風が客を迎えるというのは、主人の代わりに風がさわやかに客をもてなしてくれるという見立てです。茶炉薬竈は、茶を煮る炉と薬を練る竈で、養生と風雅を兼ねた隠者の道具立てです。そこに月の光が簾の半ばから差し込み、まるで人の様子をのぞき見ているように感じられます。窺という字に、月の茶目っ気のような親しみがこもっています。豪華な調度はなくても、風や月を招き入れる余白があれば、住まいは十分に豊かだということを教えてくれます。窓を開けて風を通し、夜は明かりを少し落として月の光を感じる、そんな小さな工夫から始められそうです。
この章句が説くこと
清貧月清風隠逸住まい
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