酔古堂剣掃 / 集倩・韻を識る者は深山の竹を窮む
尋芳者追深徑之蘭,識韻者窮深山之竹。
新字:尋芳者追深径之蘭,識韻者窮深山之竹。
書き下し
芳を尋ぬる者は深徑の蘭を追ひ、 韻を識る者は深山の竹を窮む。
現代語訳
香りのよい花を求める人は、奥深い小道に咲く蘭を追い求め、風雅を知る人は、深い山の竹をたずね尽くします。
解説
本当に良いものは奥深いところにあるという一則です。尋芳は香りのよい花を探し求めること、春の花見を指すこともあります。蘭は、人里離れた谷間にひっそりと咲き、見る人がいなくても香りを放つとされ、君子の象徴とされてきました。『孔子家語』にも、芝蘭は深い林に生え、人がいないからといって香らないことはない、という言葉があります。後半の識韻は、風雅の趣を理解すること、窮はたずね尽くすことです。竹もまた、深い山にあるものほど清らかな趣を持つとされます。人目につく場所にある花や竹ではなく、わざわざ奥深くまで分け入って探すところに、本物を求める心が表れています。仕事でも学びでも、手近なところで満足せず、一歩深く分け入る人だけが出会える良さがあるものです。
この章句が説くこと
蘭竹探究風雅隠逸
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