酔古堂剣掃 / 集倩・死せば便ち我を埋めよ
劉伯倫攜壺荷鍤,死便埋我,真酒人哉;王武仲閉關護花,不許踏破,直花奴耳。
新字:劉伯倫攜壺荷鍤,死便埋我,真酒人哉;王武仲閉関護花,不許踏破,直花奴耳。
書き下し
劉伯倫は壺を攜へ鍤を荷はしめ、死せば便ち我を埋めよと、真の酒人なるかな。 王武仲は關を閉ぢて花を護り、踏破するを許さず、直だ花奴なるのみ。
現代語訳
劉伯倫(晋の劉伶)は酒壺を携え、従者に鋤を担がせて、死んだらその場で埋めてくれと言いました。まことの酒飲みというべきです。王武仲は門を閉ざして花を守り、人に踏み荒らさせませんでした。まったく花の召使いというほかありません。
解説
酒と花にそれぞれ身をささげた二人を、少しからかいながらたたえた一則です。劉伯倫は竹林の七賢の一人劉伶のことで、いつも鹿の引く車に乗って酒壺を携え、鋤を持った従者を連れて、死んだらすぐそこに埋めよと言っていたと『晋書』に見えます。生死さえ酒の前には問題にしないという徹底ぶりから、真の酒人と呼んでいます。王武仲がどのような人物かは詳しくわかりませんが、門を閉ざしてまで花を守り、人に踏ませなかったというこだわりから、花奴、つまり花に仕える召使いだと言います。奴という言葉にはからかいと同時に、そこまで打ち込む姿への愛情も込められています。何かに徹底して打ち込む人は、はたから見ればおかしくもありますが、その一途さには心を打つものがあるものです。
この章句が説くこと
飲酒花竹林七賢一途諧謔
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