酔古堂剣掃 / 集豪・花の為に妝を洗ふ
春到十千美酒,為花洗妝;夜來一片名香,與月熏魄。
新字:春到十千美酒,為花洗妝;夜来一片名香,与月熏魄。
書き下し
春到れば十千の美酒、花の為に妝を洗ふ。夜來れば一片の名香、月の與に魄を熏ず。
現代語訳
春が来れば、一斗一万銭もの美酒で、花のために化粧を洗い清めます。夜が来れば、一片の名香を焚いて、月とともに魂に香りを染み込ませます。
解説
花と月を人のように見立て、酒と香でもてなす風雅を描いた一則です。十千の美酒は、一斗一万銭もする上等な酒のことで、曹植の詩にも美酒斗十千と見えます。花に酒を注いで化粧を洗うとは、花を美人に見立てて酒で身を清めてやる遊び心です。魄は月の暗い部分、あるいは魂を指し、名香を焚いて月とともに香りに包まれる境地を言います。自然を愛でるのに、ただ眺めるだけでなく、自分から一手間をかけて迎えるところに味わいがあります。季節を迎える小さなしつらえは、暮らしを豊かにしてくれます。
この章句が説くこと
風雅閑適自然季節酒
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