酔古堂剣掃 / 集情・阮籍醉へば便ち其の側に臥す
阮籍隣家少婦有美色,當壚沽酒,籍嘗詣飲,醉便臥其側。
新字:阮籍隣家少婦有美色,当壚沽酒,籍嘗詣飲,酔便臥其側。
書き下し
阮籍の隣家の少婦美色有り、壚に當りて酒を沽る、籍嘗て詣りて飲み、醉へば便ち其の側に臥す。
現代語訳
阮籍(晋の竹林の七賢の一人)の隣の家の若い妻は美しく、店先で酒を売っていました。阮籍はよくそこへ行って酒を飲み、酔うとそのまま彼女のそばで横になって眠りました。
解説
竹林の七賢の一人、阮籍の奔放な逸話を引いた一則です。『世説新語』任誕篇に見える話で、壚は酒屋の店先で酒甕を置く土の台を言います。阮籍は隣の酒屋の美しい若妻のもとで酒を飲み、酔えばその傍らで眠ってしまいました。夫は初め大いに怪しみましたが、様子をうかがっても阮籍に何のやましい心もないことが分かった、と原話は続きます。礼儀作法にとらわれず、心のままに振る舞いながら、邪念のない阮籍の無邪気さが、この話の味わいです。集情にこの話が置かれているのは、美しい人への思いが必ずしも欲に結びつかない、澄んだ情のあり方を示すためでしょう。形式より心の清らかさを見ることの大切さを伝えています。
この章句が説くこと
情竹林逸話無心奔放
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