酔古堂剣掃 / 集倩・賞花には豪友を結ぶ
賞花須結豪友,觀妓須結淡友,登山須結逸友,泛舟須結曠友,對月須結冷友,待雪須結艷友,捉酒須結韻友。
新字:賞花須結豪友,観妓須結淡友,登山須結逸友,泛舟須結曠友,対月須結冷友,待雪須結艶友,捉酒須結韻友。
書き下し
花を賞するには須らく豪友を結ぶべく、妓を觀るには須らく淡友を結ぶべく、山に登るには須らく逸友を結ぶべく、舟を泛ぶるには須らく曠友を結ぶべく、月に對するには須らく冷友を結ぶべく、雪を待つには須らく艷友を結ぶべく、酒を捉るには須らく韻友を結ぶべし。
現代語訳
花を観賞するには豪快な友と組むのがよく、芸妓の舞を見るにはあっさりした友と組むのがよく、山に登るには世俗を超えた友と組むのがよく、舟遊びには心の広い友と組むのがよく、月を眺めるには冷静で澄んだ友と組むのがよく、雪を待つには華やかな友と組むのがよく、酒を手にするには風雅な友と組むのがよいのです。
解説
楽しみごとに、ふさわしい友の性格を選び分けた一則です。花には豪快な友がいれば宴が盛り上がり、芸妓の舞を見るときは淡泊な友といれば品を失わずにすみます。妓はここでは歌や舞を披露する芸妓のことです。山登りには俗を超えた逸友、舟遊びには心の広い曠友、月には物静かで澄んだ冷友がよく合います。雪を待つときに艶友を挙げるのは、白一色の寒々しい景色に華やかな人がいると趣が増すからでしょう。酒には韻友、つまり風雅を解する友が欠かせません。のちの清の張潮『幽夢影』にも、節句ごとに酒を酌む友を選ぶ似た形の句があります。一人の友にすべてを求めるのではなく、場面ごとにその持ち味を生かすという考えは、今の人付き合いや仕事の組み方にも通じます。
この章句が説くこと
交友風雅適材花月
関連する章句
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『幽夢影』巻上・花を賞するには佳人に對す花を賞するには宜しく佳人に對すべし、月に醉ふには宜しく韻人に對すべし、雪に映ずるには宜しく高人に對すべし。
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『酔古堂剣掃』集倩・酒有らば韻友を邀ふ事無くば當に韻書を看るべし、酒有らば當に韻友を邀ふべし。
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『酔古堂剣掃』集靈・凡そ醉には各おの宜しき所有り凡そ醉には各おの宜しき所有り。花に醉ふは晝に宜し、其の光を襲ふなり。雪に醉ふは夜に宜し、其の思ひを清くするなり。得意に醉ふは唱ふに宜し、其の和を宣ぶるなり。將に離れんとするに醉ふは缽を擊つに宜し、其の神を壯んにするなり。文人に醉ふは節奏を謹むに宜し、其の侮りを畏るるなり。俊人に醉ふは觥盂を益し旗幟を加ふるに宜し、其の怒りを助くるなり。樓に醉ふは暑に宜し、其の清に資るなり。水に醉ふは秋に宜し、其の爽を泛ぶるなり。此れ皆其の宜しきを審らかにし、其の景を考ふるなり、此れに反すれば則ち飲を失ふ。
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『酔古堂剣掃』集韻・此くの如き相逢は知己に逾ゆ山に登りて厲瘴に遇ひ、艇を放ちて腥風に遇ひ、竹を抹して繆絲に遇ひ、花を修めて酲霧に遇ひ、歡場に害馬に遇ひ、吟席に傖夫に遇ふ。斯くの若き不遇は、泥塗よりも甚だし。偶集して好花に逢ひ、踏歌して明月に逢ひ、席地して軟草に逢ひ、磴を攀ぢて疏藤に逢ひ、卷を展べて靜雲に逢ひ、茗を戰はせて新雨に逢ふ。此くの如き相逢は、知己に逾ゆ。
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『酔古堂剣掃』集倩・花を賞するに地有り時有り花を賞するには地有り時有り、其の時を得ずして漫然として客に命ずるは、皆唐突と為す。 寒花は初雪に宜しく、雨霽に宜しく、新月に宜しく、暖房に宜し。 溫花は晴日に宜しく、輕寒に宜しく、華堂に宜し。 暑花は雨後に宜しく、快風に宜しく、佳木濃陰に宜しく、竹下に宜しく、水閣に宜し。 涼花は爽月に宜しく、夕陽に宜しく、空階に宜しく、苔徑に宜しく、古藤巉石の邊に宜し。 若し風日を論ぜず、佳地を擇ばずんば、神氣散緩し、了に相屬せず、妓舍酒館中の花に比して、何ぞ異ならんや。
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『酔古堂剣掃』集豪・花の為に妝を洗ふ春到れば十千の美酒、花の為に妝を洗ふ。夜來れば一片の名香、月の與に魄を熏ず。