酔古堂剣掃 / 集倩・白雲恒に墨痕の香を帶ぶ
高臥酒樓,紅日不催詩夢醒;漫書花榭,白雲恒帶墨痕香。
新字:高臥酒楼,紅日不催詩夢醒;漫書花榭,白雲恒帯墨痕香。
書き下し
酒樓に高臥すれば、紅日も詩夢の醒むるを催さず。 花榭に漫書すれば、白雲恒に墨痕の香を帶ぶ。
現代語訳
酒楼でゆったりと寝そべっていると、昇った赤い日も、詩の夢から覚めるよう急かしはしません。花の咲く東屋で気ままに書きつけていると、白い雲はいつも墨の跡の香りを帯びています。
解説
酒と書に遊ぶ文人の気ままな姿を描いた一則です。高臥は世事を気にせず悠々と寝ていることです。日が高く昇っても、詩の夢を見続けていられるほど、何にも急かされない自由な時間が描かれています。後半の花榭は花に囲まれた東屋や高台の建物、漫書は気の向くまま筆をとって書きつけることです。白雲が墨の跡の香りを帯びているというのは、書いている文字の香りが雲にまで移るように感じられる、という誇張で、筆をとる喜びが景色全体を染めていることを表しています。酒に酔って詩の夢を見、花の下で筆を走らせる、それは唐の李白を思わせる奔放な文人の理想です。時間に追われる日常の中で、ときには時計を気にせず、好きなことに没頭する時間を持ちたいものです。
この章句が説くこと
詩書飲酒風雅没頭
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