酔古堂剣掃 / 集靈・雲房に戶を啟きて氤氳を看る
月榭憑欄,飛凌縹緲;雲房啟戶,坐看氤氳。
新字:月榭憑欄,飛凌縹緲;雲房啓戸,坐看氤氳。
書き下し
月榭に欄に憑れば、飛びて縹緲を凌ぎ、雲房に戶を啟けば、坐して氤氳を看る。
現代語訳
月見の高殿で手すりにもたれていると、はるかにかすむ大空を飛び越えていくような心地がし、雲に包まれた山の部屋で戸を開ければ、座ったまま立ちこめる気を眺めることができます。
解説
高い場所で味わう、俗世を離れた心地よさを描いた対句です。月榭は月を眺めるための高い建物、縹緲ははるかにかすんで見えるさまです。雲房は雲のかかる山中の部屋、あるいは僧や道士の住まいのことです。氤氳は天地の気がこもって立ちこめるさまをいいます。月見台から空を眺めれば心が飛んでいくようで、山の部屋の戸を開ければ雲や霧が流れこんでくる。体は動かなくても、心は大きく広がっていくという感覚が描かれています。高いところから広い景色を見ると、日々の悩みが小さく思えてくるものです。ときには遠くを眺める時間を持ちたいものです。
この章句が説くこと
閑適自然月隠逸風雅
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