酔古堂剣掃 / 集靈・詩卷を快讀して以て之を咽む
鳥啼花落,欣然有會於心。遣小奴,挈癭樽,酤白酒,釂一梨花瓷盞;急取詩卷,快讀一過以咽之,蕭然不知其在塵埃間也。
新字:鳥啼花落,欣然有会於心。遣小奴,挈癭樽,酤白酒,釂一梨花瓷盞;急取詩巻,快読一過以咽之,蕭然不知其在塵埃間也。
書き下し
鳥啼き花落ち、欣然として心に會する有り。小奴を遣はし、癭樽を挈げ、白酒を酤ひ、一梨花瓷の盞を釂す。急ぎ詩卷を取り、快讀すること一過にして以て之を咽み、蕭然として其の塵埃の間に在るを知らざるなり。
現代語訳
鳥が鳴き花が散るのを見て、うれしく心に響くものがありました。小者をやって、瘤木の酒器を提げて白い酒を買いに行かせ、梨の花のように白い磁器の杯で一息に飲み干しました。すぐに詩集を手に取り、気持ちよく一通り読んで酒の肴にすると、さっぱりとして、自分が俗世のちりの中にいることも忘れてしまいました。
解説
春の感興から酒と詩へと移る、ひとときの楽しみを生き生きと描いた一則です。有會於心は心に通じ合うものがあることです。癭樽は木の瘤をくりぬいて作った素朴な酒器、梨花瓷盞は梨の花のように白い磁器の杯、釂は杯を飲み干すことです。咽之は詩を酒の肴として飲みくだすという意味で、詩を読むことと酒を味わうことを一つにした表現です。心が動いた瞬間を逃さず、すぐに酒を買いにやり、すぐに詩集を開くという素早さが、この一則の生気の源になっています。心が動いたときにすぐ行動に移すことは、楽しみを深めるだけでなく、仕事の着想を生かす上でも大切です。
この章句が説くこと
風雅飲酒詩閑適感興
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