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酔古堂剣掃 / 集倩・月千里に明らかなり

曉入梁王之苑,雪滿群山;夜登庚亮之樓,月明千里。

新字:暁入梁王之苑,雪満群山;夜登庚亮之楼,月明千里。

書き下し

曉に梁王の苑に入れば、雪群山に滿つ。 夜に庚亮の樓に登れば、月千里に明らかなり。

現代語訳

明け方に梁王の庭園に入ると、雪が山々に満ちています。夜に庾亮の楼に登ると、月が千里の彼方まで明るく照らしています。

解説

雪と月という二つの白い景色を、名高い故事の場所に配した対句です。梁王之苑は、前漢の梁の孝王が造った兎園のことで、南朝宋の謝恵連の「雪の賦」は、梁王が雪の日にこの庭で宴を開き、文人たちに雪を詠ませたという設定で書かれています。後半の庚亮は、東晋の庾亮のことと見られます。庾亮は武昌にいたとき、秋の夜に部下たちが南楼に登って月を眺めていると、自らもやってきて、胡床に腰かけて一緒に楽しんだという話が『世説新語』に見えます。原文の「庚」は「庾」の書き誤りと考えられます。雪の朝の庭と月の夜の楼、どちらも文人の風流を象徴する場面です。季節の美しい景色を、昔の人々が楽しんだ故事と重ねて眺めると、同じ雪や月にも奥行きが生まれます。

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