酔古堂剣掃 / 集韻・月は林下に明らかにして美人來る
春夜小窗兀坐,月上木蘭有骨,淩冰懷人如玉。因想「雪滿山中高士臥,月明林下美人來」,語此際光景頗似。
新字:春夜小窗兀坐,月上木蘭有骨,淩冰懐人如玉。因想「雪満山中高士臥,月明林下美人来」,語此際光景頗似。
書き下し
春夜小窗に兀坐すれば、月木蘭に上りて骨有り、冰を淩ぎて人を懷ふこと玉の如し。 因りて想ふ、雪は山中に滿ちて高士臥し、月は林下に明らかにして美人來ると、此の際の光景を語るに頗る似たり。
現代語訳
春の夜、小さな窓辺にじっと座っていると、月が木蓮の上に昇って、その枝は骨格があるかのように引き締まって見え、冷たさをしのいで人を思えば、その人は玉のように清らかです。そこで思い出すのが、雪は山中に満ちて高士は臥し、月は林下に明らかにして美人来たる、という句で、このときの光景を語るのにとてもよく似ています。
解説
春の夜の窓辺で、月と木蓮を眺めながら、人を思う心を描いた一則です。兀坐は、じっと動かずに座っていることです。月が木蓮の上に昇り、その枝がすっきりと骨のある姿に見えると言っています。引用されている雪は山中に満ちて高士臥し、月は林下に明らかにして美人来たる、は明の高啓が梅の花を詠んだ詩の名句です。雪の山に眠る高潔な隠者と、月明かりの林にやってくる美人とは、ともに梅の花の清らかで気高い美しさを人にたとえたものです。春の夜の木蓮と月の光景が、その梅の詩の情景とよく似ていると感じたのです。美しい景色を前にして、好きな詩の一節を思い出せることは、心の大きな財産でしょう。
この章句が説くこと
風雅月春詩情草花
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