酔古堂剣掃 / 集倩・關津は愁ひに稅せず
扁舟空載,贏卻關津不稅愁;孤杖深穿,攬得煙雲閑入夢。
新字:扁舟空載,贏却関津不税愁;孤杖深穿,攬得煙雲閑入夢。
書き下し
扁舟空しく載す、贏ち卻く關津の愁ひに稅せざるを。 孤杖深く穿つ、煙雲を攬り得て閑に夢に入る。
現代語訳
小舟に何も積まずに行けば、関所や渡し場が愁いには税をかけないのが、かえってもうけものです。杖一本で山深く分け入れば、もやや雲をつかみ取って、のんびりと夢の中に持ち込めます。
解説
何も持たない旅の身軽さを、ユーモアを込めて描いた一則です。扁舟は小さな舟、空載は荷を積まずにいることです。関津は関所と渡し場のことで、昔はそこで通行税や荷物の税を取り立てました。舟に積んでいるのは愁いだけだが、関所は愁いには税をかけないので、得をした、という機知に富んだ言い方です。贏却はもうける、勝ちを得ることです。後半の孤杖は杖一本だけの身軽な姿、深穿は山深く分け入ることです。攬は手でつかみ取ることで、煙雲をつかみ取ってのんびり夢に持ち込むという表現には、何も持たない者だけが得られる豊かさが表れています。荷物が少ないほど旅は自由になるように、背負うものを減らすと、心も軽くなって見えてくる景色が広がるのかもしれません。
この章句が説くこと
旅身軽諧謔隠逸自然
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