酔古堂剣掃 / 集峭・桴に乘りて海に浮ぶ
著屐登山,翠微中獨逢老衲;乘桴浮海,雪浪裏群傍閒鷗。
新字:著屐登山,翠微中独逢老衲;乗桴浮海,雪浪裏群傍閒鴎。
書き下し
屐を著けて山に登れば、翠微の中に獨り老衲に逢ひ、桴に乘りて海に浮べば、雪浪の裏に群れて閒鷗に傍ふ。
現代語訳
木のげたを履いて山に登れば、緑の山腹で年老いた僧にひとり出会い、いかだに乗って海に浮かべば、雪のように白い波の中で、のんびりした鴎の群れに寄り添います。
解説
山と海での自由な遊びを対にした、のびやかな一則です。屐は歯のある木のげたで、南朝の謝霊運が山登りのために前後の歯を付け替えられる屐を工夫した話が知られます。翠微は山の中腹の緑深いところ、老衲は老僧です。桴に乘りて海に浮ぶは、論語で孔子が、道が行われないならいかだに乗って海に出ようと言った言葉です。閒鷗は、人に警戒心を持たない鴎で、無心の象徴です。世の中の思うようにならないことから離れて、山では僧と、海では鴎と過ごす、その自由さが魅力です。ときには日常から距離を置き、心を解き放つ時間を持つことも大切です。
この章句が説くこと
隠逸自然自由閑適旅
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