酔古堂剣掃 / 集素・一條の竹杖身に隨ふ
半幅花箋入手,剪裁就臘雪春冰;一條竹杖隨身,收拾盡燕云楚水。
新字:半幅花箋入手,剪裁就臘雪春冰;一条竹杖随身,収拾尽燕云楚水。
書き下し
半幅の花箋手に入れば、剪裁して臘雪春冰を就す。 一條の竹杖身に隨へば、燕云楚水を收拾し盡くす。
現代語訳
半幅の美しい詩箋が手に入れば、それを切りそろえて、師走の雪や春の氷のような清らかな詩を書き上げます。一本の竹の杖を携えれば、北の燕の雲から南の楚の水まで、天下の景色をすべて拾い集めます。
解説
小さな紙と一本の杖があれば、詩も旅も思いのままだと述べた対句です。花箋は模様を刷った美しい便箋や詩箋で、半幅はその半分ほどの小さな紙です。剪裁は裁ち切ることで、ここでは言葉を整えて詩文に仕立てることも重ねています。臘雪春冰は、十二月の雪と春の氷で、清らかで冷ややかな詩の趣をたとえます。竹杖は旅の杖、燕云楚水は北方の燕の雲と南方の楚の水で、天下の山水を広く指します。云は雲に通じます。収拾は拾い集めることです。わずかな道具でも、心さえあれば世界の美を手に入れられるという、軽やかで大きな気宇が感じられます。持ち物を減らしても、見聞や創作の豊かさは減らないのです。
この章句が説くこと
旅詩文風雅清貧自然
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