酔古堂剣掃 / 集倩・曉市の花聲
晚村人語,遠歸白社之煙;曉市花聲,驚破紅樓之夢。
新字:晩村人語,遠帰白社之煙;暁市花声,驚破紅楼之夢。
書き下し
晚村の人語、遠く白社の煙に歸し、 曉市の花聲、紅樓の夢を驚破す。
現代語訳
夕暮れの村の人の話し声は、遠く白社の夕煙の中へ消えていき、明け方の市場の花売りの声は、紅い楼閣で見ていた夢を驚かせて覚まします。
解説
夕暮れと明け方、村と町の音を対にした一則です。白社は、東晋の慧遠が廬山で結んだ白蓮社を思わせる言葉で、隠者や僧が集う清らかな場所を指すと読めます。夕暮れの村の人の声が、その白社の夕餉の煙の中へと遠ざかっていく様子に、一日が静かに閉じていく安らぎがあります。後半の暁市は夜明けの市場、花声は花を売り歩く呼び声です。紅楼は紅く塗られた楼閣で、裕福な家や美しい女性の住まいを指します。朝の花売りの声が、その紅楼の甘い夢を破って目覚めさせるのです。遠ざかっていく音と、飛び込んでくる音という対比が、静と動、終わりと始まりの感覚を伝えます。朝夕の町の音に耳を傾けると、暮らしのリズムがそこに刻まれていることに気づかされます。
この章句が説くこと
朝夕町情景花音
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