酔古堂剣掃 / 集倩・娟娟たる花露
娟娟花露,曉濕芒鞋;瑟瑟松風,涼生枕簟。
新字:娟娟花露,暁湿芒鞋;瑟瑟松風,涼生枕簟。
書き下し
娟娟たる花露、曉に芒鞋を濕し、 瑟瑟たる松風、涼しさ枕簟に生ず。
現代語訳
きらきらと美しい花の露が、明け方に草鞋を濡らし、さやさやと鳴る松の風に、枕や竹の敷物から涼しさが生まれてきます。
解説
朝と夜、露と風という二つの清らかさを、肌で感じる形で描いた一則です。娟娟は美しくあでやかなさまで、朝日に光る花の露の輝きを表しています。芒鞋はすすきなどで編んだわらじで、旅人や隠者の粗末な履物です。朝早く花の咲く道を歩くと、露がわらじを濡らしていくという情景に、ひんやりとした朝の空気が感じられます。瑟瑟は風が木々を渡るさやさやという音です。枕簟は枕と竹で編んだ夏の敷物で、松を渡る風が寝床に涼しさをもたらすさまを言います。朝の散歩と夜の眠りという、一日の始まりと終わりを、どちらも自然の恵みとともに過ごしている姿です。朝露を踏む散歩や、窓を開けて風を感じる眠りなど、自然に触れる時間を一日の中に少し取り入れたくなる句です。
この章句が説くこと
朝露松風自然閑適清涼
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