酔古堂剣掃 / 集素・燈下に花を玩び簾內に月を看る
燈下玩花,簾內看月,雨後觀景,醉裏題詩,夢中聞書聲,皆有別趣。
新字:灯下玩花,簾内看月,雨後観景,酔裏題詩,夢中聞書声,皆有別趣。
書き下し
燈下に花を玩び、簾內に月を看、雨後に景を觀、醉裏に詩を題し、夢中に書聲を聞く、皆別趣有り。
現代語訳
灯火の下で花を愛で、簾の内から月を眺め、雨上がりに景色を見、酔いの中で詩を書きつけ、夢の中で読書の声を聞く。どれもそれぞれに格別の趣があります。
解説
ものを直接ではなく、何かを隔てて味わうことの趣を並べた一則です。昼の光ではなく灯火の下で見る花、じかにではなく簾越しに見る月、晴天ではなく雨上がりの景色、しらふではなく酔いの中の詩、目覚めてではなく夢の中で聞く書の声。いずれも、ぼんやりした条件や一枚の隔てがあることで、かえって想像がふくらみ、趣が深まります。書声は書物を声に出して読む音のことです。何でも明るくはっきり見えることが良いとは限らないという、東洋の美意識がよく表れています。見えすぎる時代だからこそ、少しの陰りや隔てを楽しむ余裕を持ちたいものです。
この章句が説くこと
風雅閑適月花余韻
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