酔古堂剣掃 / 集倩・苔磯に釣を垂る
石洞尋真,綠玉嵌烏藤之仗;苔磯垂釣,紅翎間白鷺之蓑。
新字:石洞尋真,緑玉嵌烏藤之仗;苔磯垂釣,紅翎間白鷺之蓑。
書き下し
石洞に真を尋ぬれば、綠玉烏藤の仗に嵌め、 苔磯に釣を垂るれば、紅翎白鷺の蓑に間はる。
現代語訳
岩屋に仙人を訪ねていくときは、黒い藤の杖に緑の玉をはめ込み、苔むした岩の磯で釣り糸を垂れるときは、紅い羽根が白鷺の羽のような蓑に混じっています。
解説
山の探訪と水辺の釣りという、隠者の二つの営みを、色鮮やかな道具立てで描いた一則です。尋真は真人、つまり道を悟った仙人を訪ね求めること、または道の真理を探ることです。烏藤は黒い藤の蔓で作った杖、そこに緑の玉をはめるという華やかな飾りが添えられています。苔磯は苔むした水辺の岩、垂釣は釣り糸を垂れることです。後半の紅翎白鷺之蓑は解釈の難しいところですが、白鷺の羽のように白い蓑に、紅い羽根が混じって見えるさまと読みました。緑と黒、紅と白という色の対比が鮮やかで、素朴な隠者の暮らしも、見方によっては華やかな絵になることを示しています。質素な暮らしの中にも、色や形の美しさを見いだす目があれば、日々はもっと豊かになるでしょう。
この章句が説くこと
隠逸釣り仙人色彩風雅
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