酔古堂剣掃 / 集倩・杜鵑啼き斷つ落花の風
山館秋深,野鶴唳殘清夜月;江園春暮,杜鵑啼斷落花風。
新字:山館秋深,野鶴唳残清夜月;江園春暮,杜鵑啼断落花風。
書き下し
山館秋深く、野鶴唳き殘す清夜の月。 江園春暮れ、杜鵑啼き斷つ落花の風。
現代語訳
山の館に秋が深まり、野の鶴は澄んだ夜の月に鳴き声の余韻を残します。川辺の庭に春が暮れ、ほととぎすは花を散らす風の中で鳴き尽くします。
解説
秋の夜と春の暮れ、鶴とほととぎすを対にした一則です。山館は山の中の家、唳は鶴が高く鳴くことです。秋の深まった山で、澄んだ夜の月の下に、野の鶴の声が長く尾を引いて響きます。江園は川辺の庭、春暮は春の終わりです。杜鵑はほととぎすで、中国では蜀の望帝の魂が化したものと伝えられ、血を吐くまで鳴くと言われて、悲しみや望郷の象徴とされました。落花風は花を散らす風で、春が過ぎゆく寂しさを誘います。啼断は、声が途切れるほど鳴き尽くすことです。二つの鳥の声は、どちらも季節の終わりの寂しさを帯びて響きます。過ぎゆく季節を惜しむ心は、今も変わらず私たちの中にあります。季節の終わりに、その季節ならではの音に耳を澄ませてみたいものです。
この章句が説くこと
季節鶴杜鵑月情景
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