酔古堂剣掃 / 集情・子規啼く處人の歸るを憶ふ
萬里關河,鴻雁來時悲信斷;滿腔愁緒,子規啼處憶人歸。
新字:万里関河,鴻雁来時悲信断;満腔愁緒,子規啼処憶人帰。
書き下し
萬里の關河、鴻雁來る時信の斷ゆるを悲しむ。 滿腔の愁緒、子規啼く處人の歸るを憶ふ。
現代語訳
万里も隔たった関所と河。雁が渡ってくる季節になると、便りが途絶えたことを悲しみます。胸いっぱいの愁い。ほととぎすの鳴く所で、あの人の帰りを思います。
解説
遠く離れた人を待つ思いを、雁とほととぎすという二つの鳥に託した対句です。関河は関所と河で、遠く隔たった道のりを言います。雁は、漢の蘇武が雁の足に手紙を結んだという故事から、便りを運ぶ鳥とされてきました。その雁が来る季節なのに手紙が届かないことが、いっそう悲しみを深めます。子規はほととぎすで、その鳴き声が「帰るに如かず」と聞こえるとされたことから、帰りを待つ思いと結びつけられてきました。秋の雁と春夏のほととぎすで、季節がめぐっても待ち続ける時間の長さが感じられます。連絡がすぐ取れる今日でも、返事を待つ時間のもどかしさは変わらないものです。
この章句が説くこと
情離別便り待つ季節
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