酔古堂剣掃 / 集景・杜鵑啼き斷つ落花の風
千竿修竹,周遭半畝方塘;一片白雲,遮蔽五株垂柳。山館秋深,野鶴唳殘清夜月;江園春暮,杜鵑啼斷落花風。
新字:千竿修竹,周遭半畝方塘;一片白雲,遮蔽五株垂柳。山館秋深,野鶴唳残清夜月;江園春暮,杜鵑啼断落花風。
書き下し
千竿の修竹、周遭す半畝の方塘。 一片の白雲、遮蔽す五株の垂柳。 山館秋深く、野鶴唳き殘す清夜の月。 江園春暮れ、杜鵑啼き斷つ落花の風。
現代語訳
千本の長い竹が、半畝ほどの四角い池をぐるりと囲んでいます。一片の白い雲が、五本の垂れ柳を覆い隠しています。山の館は秋が深まり、野の鶴が清らかな夜の月に向かって鳴き声を残しています。川辺の庭は春が暮れて、ほととぎすが花を散らす風の中で声を振りしぼって鳴いています。
解説
竹と池、雲と柳、秋の鶴、春のほととぎすと、四つの情景を二組の対句で描いた一則です。半畝の方塘は、宋の朱熹が観書有感の詩で、半畝の方塘一鑑開く、と詠んだ小さな池を思わせます。五株の垂柳は、門の前に五本の柳を植えて五柳先生と号した陶淵明を連想させる言葉です。後半では、秋の山の館で鶴が月に向かって鳴き、春の川辺の庭でほととぎすが散る花の中で鳴く、と季節を対にしています。杜鵑は血を吐くまで鳴くと言われ、晩春の哀切な鳴き声で知られる鳥です。唳き殘すと啼き斷つという動詞の対比に、余韻と哀しみが込められています。季節の終わりの寂しさを、鳥の声が代弁してくれているようです。
この章句が説くこと
自然風雅四季鳥隠逸
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