酔古堂剣掃 / 集倩・明月詩を催す
午夜無人知處,明月催詩;三春有客來時,香風散酒。
新字:午夜無人知処,明月催詩;三春有客来時,香風散酒。
書き下し
午夜人の知る無き處、明月詩を催し、 三春客の來たる有る時、香風酒を散ず。
現代語訳
真夜中の誰も知らない場所では、明るい月が詩を作るよう促し、春の盛りに客が訪ねてくるときは、香しい風が酒の香りを振りまきます。
解説
月と風を、詩と酒の世話役に見立てた一則です。午夜は真夜中、三春は春の三か月、つまり春の盛りのことです。前半では、人に知られない夜中の静けさの中で、明月がまるで作詩をせかすように心を揺さぶると言います。催は、促す、急き立てるという意味で、月が詩人の背中を押してくれるような親しみが感じられます。後半では、春に客が来ると、花の香りを運ぶ風が酒の香りを広げ、宴を盛り上げてくれます。一人の夜と、客のある昼という対比も巧みで、孤独な創作の時間と、人と交わる楽しい時間の両方が、どちらも自然の力に支えられています。月や風に背中を押されるように、季節の中で心を動かすと、自然と言葉や楽しみが生まれてくるものでしょう。
この章句が説くこと
詩月春交友風雅
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