酔古堂剣掃 / 集倩・良友相聚まる
楊花飛入珠簾,脫巾洗硯;詩草吟成錦字,燒竹煎茶。良友相聚,或解衣盤礴,或分韻角險,頃之貌出青山,吟成麗句,從旁品題之,大是開心事。
新字:楊花飛入珠簾,脱巾洗硯;詩草吟成錦字,焼竹煎茶。良友相聚,或解衣盤礴,或分韻角険,頃之貌出青山,吟成麗句,従旁品題之,大是開心事。
書き下し
楊花珠簾に飛び入れば、巾を脫ぎて硯を洗ふ。 詩草吟じて錦字を成せば、竹を燒きて茶を煎る。 良友相聚まり、或いは衣を解きて盤礴し、或いは韻を分かちて險を角ふ。 之を頃くして青山を貌し出だし、麗句を吟じ成せば、旁らより之を品題す、大いに是れ開心の事なり。
現代語訳
柳の綿が玉の簾に飛び込んでくると、頭巾を脱いで硯を洗います。詩の草稿を吟じて美しい言葉に仕上がると、竹をくべて茶を煮ます。よい友が集まって、ある者は衣を脱いで足を投げ出して絵を描き、ある者は韻字を分け合って難しい韻を競います。しばらくすると青い山が描き出され、美しい句が吟じ上がり、それを傍らから品評し合う、これはまことに心の晴れる楽しいことです。
解説
良き友と詩画を楽しむ集いの情景を、生き生きと描いた一則です。楊花は柳の綿毛で、晩春に舞い飛ぶものです。それを合図のように、硯を洗って筆を執る準備をします。解衣盤礴は『荘子』に見える話で、ある画家が衣を脱ぎ足を投げ出して座り、形式にとらわれず描いたので、宋の元君が真の画家だと認めたと伝えられます。分韻角険は、韻字を分け合い、あえて難しい韻で詩を作り競うことです。品題は作品を品評し、題を付けることです。絵を描く者、詩を作る者がそれぞれの技を持ち寄り、できあがったものを互いに評し合う、こうした集いを雅集と言い、文人の最大の楽しみでした。趣味の仲間と作品を見せ合い語り合う時間は、今も変わらず心を明るくしてくれるものです。
この章句が説くこと
交友詩画雅集茶風雅
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