酔古堂剣掃 / 集素・落葉を煨きて紅爐と為す
山房之磬,雖非綠玉,沉明輕清之韻,盡可節清歌洗俗耳。山居之樂,頗愜冷趣,煨落葉為紅爐,況負暄於岩戶。土鼓催梅,荻灰暖地,雖潛凜以蕭索,見素柯之凌歲。同雲不流,舞雪如醉,野因曠而冷舒,山以靜而不晦。枯魚在懸,濁酒已注,朋徒我從,寒盟可固,不驚歲暮於天涯,即是挾纊於孤嶼。
新字:山房之磬,雖非緑玉,沈明軽清之韻,尽可節清歌洗俗耳。山居之楽,頗愜冷趣,煨落葉為紅炉,況負暄於岩戸。土鼓催梅,荻灰暖地,雖潜凜以蕭索,見素柯之凌歳。同雲不流,舞雪如酔,野因曠而冷舒,山以静而不晦。枯魚在懸,濁酒已注,朋徒我従,寒盟可固,不驚歳暮於天涯,即是挟纊於孤嶼。
書き下し
山房の磬は、綠玉に非ずと雖も、沉明輕清の韻、盡く清歌を節し俗耳を洗ふべし。 山居の樂しみ、頗る冷趣に愜ふ。落葉を煨きて紅爐と為し、況んや暄を岩戶に負ふをや。 土鼓梅を催し、荻灰地を暖む。潛凜以て蕭索たりと雖も、素柯の歲を凌ぐを見る。 同雲流れず、舞雪醉ふが如し。野は曠きに因りて冷やかに舒び、山は靜かなるを以て晦からず。 枯魚懸かる在り、濁酒已に注ぐ。朋徒我に從ひ、寒盟固むべし。 歲暮を天涯に驚かず、即ち是れ纊を孤嶼に挾むなり。
現代語訳
山の住まいの磬は、緑玉で作ったものではありませんが、深く澄んで軽やかに清らかな響きは、清らかな歌の拍子を取り、俗な耳を洗うのに十分です。山住まいの楽しみは、冷ややかな趣にすこぶるかなっています。落ち葉を焼いて赤い炉とし、まして岩屋の戸口で日なたぼっこをする楽しさといったらありません。土の太鼓が梅の開花を促し、荻の灰が地を温めて春の気を知らせます。寒さがひそかに厳しく、あたりはもの寂しくても、葉を落とした木の枝が歳の寒さをしのいで立っているのが見えます。空一面の雲は動かず、舞う雪は酔ったようにひらひらと降ります。野は広々としているので冷たくのびやかに、山は静かなので暗く沈むことがありません。干し魚が吊るしてあり、濁り酒はもう注いであります。仲間たちが私についてきてくれて、寒中の誓いを固めることができます。天の果てで歳の暮れを迎えても驚くことはなく、それはまさに離れ小島で綿入れを着ているような温かさです。
解説
この章句が説くこと
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