酔古堂剣掃 / 集素・茗を瀹て棋を奕す
因葺舊廬,疏渠引泉,周以花木,日哦其間;故人過逢,瀹茗奕棋,杯酒淋浪,殆非塵中物也。
新字:因葺旧廬,疏渠引泉,周以花木,日哦其間;故人過逢,瀹茗奕棋,杯酒淋浪,殆非塵中物也。
書き下し
因りて舊廬を葺き、渠を疏して泉を引き、周らすに花木を以てし、日に其の間に哦す。 故人過り逢へば、茗を瀹て棋を奕し、杯酒淋浪として、殆ど塵中の物に非ざるなり。
現代語訳
そこで古い家を葺き直し、溝を通して泉の水を引き入れ、周りに花や木を植えて、毎日その中で詩を吟じています。古くからの友が立ち寄れば、茶を淹れ、碁を打ち、杯の酒がこぼれるほどに酌み交わして、ほとんどこの世の俗塵の中の者とは思えません。
解説
古い住まいを手入れして、友と楽しむ隠居の日々を描いた一則です。葺は屋根を葺き直すこと、疏渠は水路を通すことです。哦は詩を口ずさむことです。故人はここでは古くからの友人を言います。瀹茗は茶を湯に浸して淹れること、奕棋は碁を打つこと、淋浪は酒がしたたりこぼれるほど盛んに飲むさまです。塵中の物ではないとは、俗世を超えた仙人のようだということです。新しい家を建てるのではなく、古い家に手を入れて暮らしを整えるという姿勢には、今あるものを大切に生かす知恵があります。そして、その住まいに訪ねてくる友がいることが、何よりの豊かさであることも伝わってきます。
この章句が説くこと
隠逸交友住まい茶閑適
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