酔古堂剣掃 / 集倩・寒泉に濯ふ
陰茂樹,濯寒泉,溯冷風,寧不爽然灑然!
書き下し
茂樹に陰し、寒泉に濯ひ、冷風に溯る、寧ぞ爽然灑然たらざらんや。
現代語訳
茂った木の陰に身を寄せ、冷たい泉で身を洗い、涼しい風に向かって歩いていく、どうしてさわやかでさっぱりとした気持ちにならないことがありましょうか。
解説
夏の暑さを忘れるひとときを、三つの動作で描いた一則です。陰茂樹は茂った木の陰で涼むこと、濯寒泉は冷たい泉の水で手足や冠の紐を洗うこと、溯冷風は涼しい風に向かっていくことです。濯には、『楚辞』漁父の、滄浪の水が清ければ冠の紐を洗うという句のように、身を清めて世の濁りを払う響きもあります。爽然も灑然も、さわやかでさっぱりとしたさまを表す言葉で、それを重ねることで気持ちよさが強調されています。最後の反語の形に、誰でもこうすれば必ず気持ちが晴れるという確信が込められています。暑さや疲れで気持ちが沈むとき、難しいことを考えるより、木陰に入り、水で顔を洗い、風に当たるという単純な行いのほうが、心を回復させてくれることがあります。
この章句が説くこと
清涼自然夏閑適心身
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