酔古堂剣掃 / 集景・山戶に入りて松涼し
煙霞潤色,荃荑結芳。出澗幽而泉冽,入山戶而松涼。
新字:煙霞潤色,荃荑結芳。出澗幽而泉冽,入山戸而松涼。
書き下し
煙霞色を潤し、荃荑芳を結ぶ。 澗幽を出でて泉冽く、山戶に入りて松涼し。
現代語訳
霞やもやが景色の色を潤し、香草の若芽が芳しい香りを結びます。奥深い谷を出ると泉は冷たく澄み、山の家に入ると松風が涼しいのです。
解説
山中の景色を、色と香り、冷たさと涼しさという感覚で描いた一則です。煙霞は霞やもやで、山の景色をしっとりと潤して色を深めています。荃荑は、荃という香草と、荑という草の若芽のことで、それらが芳しい香りを放っていると言います。後半では、奥深い谷から出てくる泉の水は冷たく澄み、山の家に入ると松を渡る風が涼しいと、肌で感じる感覚が描かれています。前半が目と鼻で感じる景色、後半が肌で感じる景色になっているのが巧みです。四字と六字を組み合わせた、六朝の駢文の調子を思わせる整った文体です。五感を使って自然を味わうことで、同じ景色もいっそう豊かに感じられるでしょう。
この章句が説くこと
自然風雅山水五感清涼
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