酔古堂剣掃 / 集素・壁上の一琴常に挂く
窗前獨榻頻移,為親夜月;壁上一琴常挂,時拂天風。
新字:窗前独榻頻移,為親夜月;壁上一琴常挂,時払天風。
書き下し
窗前の獨榻頻りに移すは、夜月に親しまんが為なり。 壁上の一琴常に挂くるは、時に天風に拂はしむ。
現代語訳
窓辺にある一人用の寝台をたびたび動かすのは、夜の月に親しむためです。壁の上に琴を一張いつも掛けておくのは、ときおり天から吹く風に弦を撫でさせるためです。
解説
月と風を暮らしの友とする文人の遊び心を描いた対句です。前の句は、月の位置に合わせて寝台を何度も動かすという、少し滑稽なほどの月へのこだわりを描いています。後の句は、壁の琴をわざわざ弾かず、風が弦に触れて鳴るのに任せるという趣向です。弦のない琴を愛した陶淵明の逸話にも通じる、音そのものより心の響きを楽しむ姿勢がうかがえます。家具の配置ひとつにも、自然との付き合い方が表れるのです。部屋の模様替えを、窓の光や風の通り道に合わせて考えてみると、暮らしが少し豊かになるかもしれません。
この章句が説くこと
風雅自然閑適月琴
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