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酔古堂剣掃 / 集倩・書を觀るには欄に倚る

觀書,宜倚欄吹笛;宜焚香靜坐;宜揮麈清談。江干宜帆影,山郁宜煙嵐;院落宜楊柳,寺觀宜松篁;溪邊宜漁樵、宜鷺鷥,花前宜娉婷、宜鸚鵡;宜翠霧霏微,宜銀河清淺;宜萬里無雲,長空如洗;宜千林雨過,叠嶂如新;宜高插江天,宜斜連城郭;宜開窗眺海日,宜露頂臥天風;宜嘯,宜詠,宜終日敲棋;宜酒,宜詩,宜清宵對榻。

新字:観書,宜倚欄吹笛;宜焚香静坐;宜揮麈清談。江干宜帆影,山郁宜煙嵐;院落宜楊柳,寺観宜松篁;渓辺宜漁樵、宜鷺鷥,花前宜娉婷、宜鸚鵡;宜翠霧霏微,宜銀河清浅;宜万里無雲,長空如洗;宜千林雨過,叠嶂如新;宜高挿江天,宜斜連城郭;宜開窗眺海日,宜露頂臥天風;宜嘯,宜詠,宜終日敲棋;宜酒,宜詩,宜清宵対榻。

書き下し

書を觀るには、宜しく欄に倚りて笛を吹くべく、宜しく香を焚きて靜坐すべく、宜しく麈を揮ひて清談すべし。 江干は帆影に宜しく、山郁は煙嵐に宜しく、院落は楊柳に宜しく、寺觀は松篁に宜しく、溪邊は漁樵に宜しく、鷺鷥に宜しく、花前は娉婷に宜しく、鸚鵡に宜し。 翠霧霏微たるに宜しく、銀河清淺たるに宜しく、萬里雲無く、長空洗ふが如きに宜しく、千林雨過ぎて、叠嶂新たなるが如きに宜しく、高く江天に插むに宜しく、斜めに城郭に連なるに宜しく、窗を開きて海日を眺むるに宜しく、頂を露はして天風に臥すに宜しく、嘯くに宜しく、詠ずるに宜しく、終日棋を敲くに宜しく、酒に宜しく、詩に宜しく、清宵榻に對するに宜し。

現代語訳

書を読むときには、欄干に寄りかかって笛を吹くのもよく、香を焚いて静かに座るのもよく、払子を振って清らかな話をするのもよいのです。川岸には帆の影がよく、山の茂みには煙るもやがよく、中庭には柳がよく、寺には松と竹がよく、谷川のほとりには漁師や木こりがよく、白鷺がよく、花の前にはしなやかな美人がよく、鸚鵡がよいのです。緑の霧がけぶるときもよく、天の川が清く浅く見えるときもよく、万里に雲一つなく大空が洗われたようなときもよく、多くの林を雨が過ぎて、重なる峰々が新しくなったようなときもよいのです。高く川の上の空に突き出ているのもよく、斜めに町の城壁に連なっているのもよく、窓を開けて海から昇る日を眺めるのもよく、頭をむき出しにして天の風に吹かれて寝そべるのもよいのです。口笛を吹くのもよく、詩を吟じるのもよく、一日じゅう碁を打つのもよく、酒もよく、詩もよく、清らかな夜に寝台を並べて語り合うのもよいのです。

解説

宜の字を三十近くも重ねて、心地よい場面と景色を次々に並べた一則です。冒頭は書を読むときの過ごし方ですが、その後は川岸の帆影、山のもや、中庭の柳、寺の松竹、谷川の漁樵と白鷺、花と美人と鸚鵡というように、ふさわしい取り合わせが続きます。後半の、高く空にそびえ斜めに町に連なるという句からは、景色を眺める高楼か書斎のたたずまいを詠んでいるようにも読めます。娉婷はしなやかで美しい女性のさま、叠嶂は重なり合う山並み、清宵は清らかな夜です。一つ一つの句は短いのに、並べることで広大な理想の世界が立ち上がってきます。論理よりもリズムと連想で読ませる、明末の小品文らしい文章です。自分にとってのよい取り合わせを、思いつくままに書き並べてみるのも楽しい遊びになるでしょう。

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