酔古堂剣掃 / 集靈・他樂有りと雖も吾易へず
讀理義書,學法帖字;澄心靜坐,益友清談;小酌半醺,澆花種竹;聽琴玩鶴,焚香煮茶;泛舟觀山,寓意奕棋。雖有他樂,吾不易矣。
新字:読理義書,学法帖字;澄心静坐,益友清談;小酌半醺,澆花種竹;聴琴玩鶴,焚香煮茶;泛舟観山,寓意奕棋。雖有他楽,吾不易矣。
書き下し
理義の書を讀み、法帖の字を學ぶ。心を澄まして靜坐し、益友と清談す。小酌して半ば醺じ、花に澆ぎ竹を種う。琴を聽き鶴を玩び、香を焚き茶を煮る。舟を泛べて山を觀、意を奕棋に寓す。他樂有りと雖も、吾易へず。
現代語訳
道理を説く書物を読み、手本の字を習います。心を澄まして静かに座り、良い友と清らかな話をします。少し飲んでほろ酔いになり、花に水をやり竹を植えます。琴を聴き鶴を愛で、香を焚き茶を煮ます。舟を浮かべて山を眺め、碁に心を託します。ほかに楽しみがあったとしても、私はこれらと取り替えはしません。
解説
文人の楽しみを二つずつ組にして十二並べ、これに勝るものはないと結んだ一則です。理義書は儒学の道理を説く書、法帖は名筆の手本を刻して刷った書です。益友は論語に出る、交わって益のある友のことです。小酌半醺は少し飲んで半ば酔うことで、酔いすぎない節度が感じられます。学問、書道、静坐、交友、酒、園芸、音楽、動物、香、茶、舟遊び、碁と、心と体の両方を養う楽しみが、偏りなく並んでいます。どれもひとりでも仲間とでもでき、大きなお金もかかりません。自分にとってこれだけは譲れないという楽しみの一覧を作ってみると、暮らしの軸が見えてきます。
この章句が説くこと
閑適風雅読書交友趣味
関連する章句
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『酔古堂剣掃』集倩・書を觀るには欄に倚る書を觀るには、宜しく欄に倚りて笛を吹くべく、宜しく香を焚きて靜坐すべく、宜しく麈を揮ひて清談すべし。 江干は帆影に宜しく、山郁は煙嵐に宜しく、院落は楊柳に宜しく、寺觀は松篁に宜しく、溪邊は漁樵に宜しく、鷺鷥に宜しく、花前は娉婷に宜しく、鸚鵡に宜し。 翠霧霏微たるに宜しく、銀河清淺たるに宜しく、萬里雲無く、長空洗ふが如きに宜しく、千林雨過ぎて、叠嶂新たなるが如きに宜しく、高く江天に插むに宜しく、斜めに城郭に連なるに宜しく、窗を開きて海日を眺むるに宜しく、頂を露はして天風に臥すに宜しく、嘯くに宜しく、詠ずるに宜しく、終日棋を敲くに宜しく、酒に宜しく、詩に宜しく、清宵榻に對するに宜し。
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『酔古堂剣掃』集醒・書札は工巧ならんより直陳す揮灑して以て情を怡ばしむ、其の應酧せんよりは、何ぞ兀坐するに如かん。書札は以て情を達す、其の工巧ならんよりは、何ぞ直陳するに若かん。棋局は以て情に適ふ、其の勝を競はんよりは、何ぞ膝を促すに若かん。笑談は以て情を洽す、其の謔浪せんよりは、何ぞ狂歌するに若かん。
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『酔古堂剣掃』集素・琴書を以て益友に代ふ茅屋三間、木榻一枕、高香を燒き、苦茗を啜り、數行の書を讀み、懶倦すれば便ち松梧の下に高臥し、或いは科頭にして行吟す。 日常苦茗を以て肉食に代へ、松石を以て珍奇に代へ、琴書を以て益友に代へ、著述を以て功業に代ふ、此れ亦た樂事なり。
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『酔古堂剣掃』集素・明窗の下に圖史琴尊を羅列す明窗の下、圖史琴尊を羅列して以て自ら娛しむ。 興有れば則ち小舟を泛べ、江山の間に吟嘯し古を覽る。 渚茶野釀、以て憂ひを消すに足り、蓴鱸稻蟹、以て口に適ふに足る。 又た高僧隱士多く、佛廟絕勝なり。 家に園林有り、珍花奇石、曲沼高台、魚鳥流連して、日の暮るるを覺えず。
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『酔古堂剣掃』集靈・人生の三樂門を閉ぢて佛書を閱し、門を開きて佳客を接し、門を出でて山水を尋ぬ、此れ人生の三樂なり。
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『酔古堂剣掃』集靈・疏簾を卷きて鶴を看る書屋の前、曲檻を列ねて花を栽ゑ、方池を鑿ちて月を浸し、活水を引きて魚を養ふ。小窗の下、清香を焚きて書を讀み、淨幾を設けて琴を鼓し、疏簾を卷きて鶴を看、高樓に登りて酒を飲む。